君に染まる(後編)


「…昨日の未央はあんなに積極的だったのにな。たまにはな、あーいうのもいいなってちょっと思ったのにな」

「積極的?」

「『そーご』って、すごい甘えた声でさ、俺の名前呼び捨てしてくれたりさ」

「え?」

「『そーご、好き』って…すげえ嬉しかったのにな」

「えええええ?」

「そんでさ、未央からキスしてくれてさ、『そーごとしたい』って服脱い―――」
「ホントですかそれ!?」



驚愕する私に創吾先輩はフッと笑う。



「俺が嘘つくと思うか?」




絶対嘘だ。



それでも、顔が赤くなるのを抑えることはできなくて、そんな私にまた笑う。


「だから…さっき言ったろ?積極的なのもいいけど、なんか違うって」


チュッとわざと音を出すようにキスをしてくる。


「…俺、すげえ矛盾してるからさ。頭の中では積極的になって欲しいって思うし『好きって言って欲しい』って言うけど、いざ本物が目の前にいるとな…どうしても、な?」


唇を重ねながら先輩が私に覆いかぶさるように体を動かした。



「恥かしがってたり、狼狽して赤くなる未央が可愛くて…もっといじめたくなるし、もっと甘やかしたくなる……そーいう未央が一番好きなんだなって実感する」



微笑む先輩の手が服の中に入ってくる。



「あ…え、待って……」

「待たない。話終わったし、俺は昨日からずっと我慢してたんだ」

「ずっと、って……っ…」



唇を塞がれ制止の声は届かない。

あまりにも優しい手つきに、少しずつ体の力を抜いていく。


< 203 / 268 >

この作品をシェア

pagetop