君に染まる(後編)
「…昨日の未央はあんなに積極的だったのにな。たまにはな、あーいうのもいいなってちょっと思ったのにな」
「積極的?」
「『そーご』って、すごい甘えた声でさ、俺の名前呼び捨てしてくれたりさ」
「え?」
「『そーご、好き』って…すげえ嬉しかったのにな」
「えええええ?」
「そんでさ、未央からキスしてくれてさ、『そーごとしたい』って服脱い―――」
「ホントですかそれ!?」
驚愕する私に創吾先輩はフッと笑う。
「俺が嘘つくと思うか?」
絶対嘘だ。
それでも、顔が赤くなるのを抑えることはできなくて、そんな私にまた笑う。
「だから…さっき言ったろ?積極的なのもいいけど、なんか違うって」
チュッとわざと音を出すようにキスをしてくる。
「…俺、すげえ矛盾してるからさ。頭の中では積極的になって欲しいって思うし『好きって言って欲しい』って言うけど、いざ本物が目の前にいるとな…どうしても、な?」
唇を重ねながら先輩が私に覆いかぶさるように体を動かした。
「恥かしがってたり、狼狽して赤くなる未央が可愛くて…もっといじめたくなるし、もっと甘やかしたくなる……そーいう未央が一番好きなんだなって実感する」
微笑む先輩の手が服の中に入ってくる。
「あ…え、待って……」
「待たない。話終わったし、俺は昨日からずっと我慢してたんだ」
「ずっと、って……っ…」
唇を塞がれ制止の声は届かない。
あまりにも優しい手つきに、少しずつ体の力を抜いていく。