君に染まる(後編)


美紅先輩の怒りがおさまる気配もないし、そろそろ帰ろうかとカバンを手に取り立ち上がった。




と、同時にVIPルームの扉が開く。

入ってきた男女に全員が目を丸くした。






「あ?んだよ、全員そろってんのかよ」


スーツ姿の創吾先輩と着物姿の菅咲さんだ。


「創吾!!!!」


勢いよく創吾先輩に近寄り手を振り上げた美紅先輩。


「っぁ…ぶねぇ!何すんだ美…っわ!」


避ける創吾先輩にかまわずなんとか顔を叩こう殴ろうと襲いかかる美紅先輩を卓先輩が制止した。


「離して卓!一発殴らないと気がすまない!未央ちゃんのためにも!!」
「落ち着いて美紅ちゃん」


「なんなんだよ。落ち着けっておい」


卓先輩の力では制止しきれず珍しく優先輩も加勢する。




「ふっ…」


血気づく空間に上品な笑いが響き、その場の全員が声の主に目を向ける。


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