君に染まる(後編)
「やめろ2人とも。ったく…だから話したくなかったんだよ、特に美紅には。おまえら絶対合わねぇと思った」
頭をかきながらしかめっ面する創吾先輩。
「とりあえず、なんか美紅がヤバそうだったから時間作って連れてきたんだ。その血の気とりあえず沈めてくれ」
眉間にしわを寄せたままギロッと創吾先輩を睨んだ美紅先輩はドスッとソファーに座った。
「未央と楓は…帰るとこだったか?用事があるならまた時間作るけど」
「あっ…」
「いいえ?用事なんてありません。聞きます。ね?未央。ほら座ろう」
私が答えるより早く楓ちゃんがカバンを置き、私も引きずられるように座った。
創吾先輩の視線を感じるけど、顔を上げられない。
「…じゃあ、そんな時間もねぇし、別にそんな詳しく話すほど中身もねぇから手短に話すぞ」
創吾先輩も菅咲さんもイスに座りシン…と静まる部屋には美紅先輩がサイドテーブルに爪をコツコツ当てる音だけが響いた。