君に染まる(後編)
「昨日直接未央には紹介したけど、あー…まあ必然的にそうなっただけだったんだけど…改めて、婚約者の菅咲蘭だ」
「最低」
間髪なく美紅先輩が声を発する。
「婚約者って言っても親同士で勝手に決めただけだっつーの。俺はただのビジネスパートナーだと思ってる。」
「え?」
今度は菅咲さんが声を発した。
「どういうことですの?創吾さん」
「何が」
「何がって。ビジネスパートナーだなんて。プライベートでもパートナーじゃないですか」
「あのなぁ…」
呆れたようにため息をつく。
「何度も言ってるけど、俺はお前と結婚する気なんてない。婚約なんてただの社交辞令だろ、間に受けんな」
「それで…」
菅咲さんが私に視線を移した。
「未央さんと結婚する…とおっしゃるつもりですか?」
穏やかだけれど、とても冷たい眼差し。
背筋がゾクッとした。