君に染まる(後編)
「悪かったな、全然連絡しなくて」
「いえ。…お仕事忙しいんですか?」
「少しだけ」
急に立ち止り私をじっと見つめる。
「不安だったろ?」
眉間にしわをよせ申し訳なさそうな表情。
「急に婚約者がいるなんて言われて驚いただろ。ちゃんと説明するから。これから時間いいか?」
「あ…」
一瞬言葉に詰まった。
「はい、大丈夫です」
「じゃあ行くぞ。畠山を待たせてる」
いつもの駐車場へと向かう先輩についていく。
嬉しい。
遅くなったとはいえ、先輩が私の事を気にかけてくれていたのが。
すごく嬉しい。