君に染まる(後編)





あれから1ヶ月、創吾先輩は本当に忙しそうで毎日電話はしてくれるけど会う時間はまったく作れないみたいだった。


でもあまり淋しくない。


むしろ、毎日ドキドキしてる。


まだ菅咲さんのことを気にしてくれてるのか会えないことを気にしてくれてるのか、電話の創吾先輩はとても優しくて。


…違う、優しいというよりなんというか…甘い。



「会いたい」「抱きしめたい」「淋しい」って…ずっと呪文のように唱えられる日々。


電話越しだからなんとか会話ができているけどいざ会ったら恥ずかしくて目を合わせられないかもしれない。







「とにかく、心臓がもたないんです…」

「へー」



興味がなさそうに相槌をうつ優先輩。



菅咲さんの件を心配してくれてたみたいでいつもの裏庭に誘われたけれど、「惚気話できるぐらいなら大丈夫だね」と無表情。


これは、声をかけたこと後悔してそうだ…。


いつもの猫達も集まってきたし、邪魔するのも悪いかな。


「気をつかってもらってすみません。ありがとうございました」


こっちを見ずひらひらと手を振る優先輩に軽くお辞儀をする。


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