君に染まる(後編)
「…未央さん?」
優先輩に背を向けた瞬間、名前を呼ばれたのと同時に視界に入ってきた人物。
「やっと見つけました。探してたんですよ」
「菅咲さん…」
VIPルーム以来会っていなかったのもあり思わず警戒してしまった。
いくら創吾先輩の彼女だと言っても菅咲さんが私に会いにくる理由なんてないはずだ。
嫌な予感しかしない。
「少しお話しがしたいの。お時間いいかしら?」
「あ…」
言葉に詰まってしまい慌てて首を縦に振る。
「ありがとう。じゃあこちらに」
「未央。付き添う?」
間髪入れず優先輩がそう言う。
立ち止る私に真剣に、だけど少し心配そうな表情を向ける優先輩に思わずすがってしまいそうになる。
「…ありがとうございます。でも大丈夫です」
失礼します、と言って裏庭を後にした。