君に染まる(後編)


続いて髪を使用人さんが整えてくれる。


「さて、どんな髪型にしようかしら。未央様はいつも髪をおろしてらっしゃるからアップにしてみますか?」

「おまかせします」


楽しそうな使用人さんに思わず苦笑い。



「ダメです」

後ろで見ていた畠山さんがピシャリとそう言った。



「髪型については坊っちゃんから指定されております。おろしたままじゃないとダメだと」

「創吾先輩が?」

「はい。絶対にうなじを見せる髪型はダメだと」

「まあ創吾様、ずいぶんヤキモチ焼きなんですね。じゃあゆるく巻くぐらいにしましょうね。それかハーフアップもいいかも」



畠山さんの言ってる意味が分からなくて首をかしげる私にかまわず使用人さんは慣れた手付きで髪を巻いていく。


それから軽く化粧をし、ネックレスをつけ、髪飾りを選び、最後に靴を履く。



「さあ、どうかしら未央様」



姿見の前に立ち自分の姿を見つめる。


着なれないドレスを身にまとう私は別人みたいだ。



これなら創吾先輩に恥かかせてしまうこともないかな。



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