君に染まる(後編)
会場はとても賑やかで華やかで初めて目にする光景に物怖じしてしまう。
グラス片手に談笑する人。
名刺を渡して深々と頭を下げる人。
私はここでどう振る舞えばいいのだろうか。
「未央、俺少し挨拶してこないといけないから少し待っててくれ」
「え」
思わず声に出てしまった。
「心配しなくても付き添い呼んでるから。それまで畠山と一緒にいろ。じゃあ」
付き添い?
首をかしげる私に手をあげ人混みの中に消えていった先輩。
視線を向けると畠山さんはいつもの微笑みを浮かべた。
「ちょうど到着されたようですよ」
畠山さんが見つめる先を同じように見つめる。
「え…」
思わず声を漏らした。