君に染まる(後編)
ステージにスポットライトが当たり、司会の人がマイクを持って現れた。
「本日は、当ホテルのオープン記念パーティーにお越しいただき誠にありがとうございます。これより、当ホテルオーナーである獅堂財閥、菅咲財閥のご子息ご令嬢のお二方からご挨拶をさせていただきます。創吾様、蘭様、壇上へお願いいたします」
先輩と菅咲さんにライトが当たる。
「そういうこと。未央ちゃんの側にいたらいいの?」
どうやら先輩が呼び寄せた人は美紅先輩だったようでライトから逃げるように遠ざかった私の肩にそっと手をのせた。
「悪いな。すぐすませるから。少しだけ頼む」
チラッと菅咲さんと会長さんの方を見てそう言った先輩は司会の人の元へ歩いていく。
先輩の後を追うように壇上をあがった管咲さんはさっきとはうって変わってやわらかな笑みを浮かべ、先輩と肩を並べて立つ姿はとても綺麗でお似合いだった。
周りの招待客もヒソヒソと喋りだした。
〔久しぶりに拝見したがお2人とも立派になられたな〕
〔婚約者なんでしょ?あ、でも正式じゃないんだったかしら。でもとてもお似合い〕
誰がどう見てもそう思う。
財閥のご子息、ご令嬢。
賢く、美しく、この年でこんな立派な仕事を成し遂げた。
誰もが2人が一緒になることを疑わない。