君に染まる(後編)



プルルルと聞こえるコールに携帯を耳に当てるとすぐさま創吾先輩の声が聞こえてきた。


『未央!?』

「あ…もしもし」


ワンコールで出たことに驚き思わず言葉につまる。


『調子どうだ?だいぶ回復してるって聞いたけど全然連絡取れないから心配で』

「お昼ぐらいにようやくよくなりました。連絡できなくてすみません」

『ホントだよ…体調悪いなら仕方なかったとは思うけど誰の見舞いも拒否してるって聞いて驚いた。ただの風邪だったんだろ。顔ぐらい見たかった』

「すみません」


会いたくなかったって言ったら怒られそうで言わなかった。


『今から家行っていいか?少しでも会いたい』


さっきより甘い声に胸が苦しくなる。

「…はい。実は今外にいて。先輩どこにいますか?」

『え。今日は仕事があって家にいるけど…。病み上がりだろ?家に居ろよ、俺が行くから』

「少し歩きたかったので。あと30分ぐらいで行きます。お仕事中なのにすみません」

『…じゃあ迎えに行かせる。大通り通って来い。無理するなよ』


拒否は許さないというようにそこで電話を切られた。


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