君に染まる(後編)
でも、ダメだ。
首筋にすり寄る先輩の肩を押した。
弱い力で抱きしめられていたからか簡単に離れることができた。
「未央?」
先輩の顔を見ることが出来ない。
きっと不思議そうに、でも優しい顔をしてる。
ゆっくりベッドから降りて距離を空けるように後ずさった。
「どうした未央」
今、先輩の顔を見たら絶対に泣いてしまう。
泣いちゃダメだ。
「私たち、別れませんか」
声を、言葉通り絞り出した。
「…は?」
小さな先輩の声に間髪入れず続ける。
「別れたいんです」
そう言って少し顔をあげた瞬間に見えた先輩の表情は理解できないというように固まっていた。
けど、立ち上がってこっちに近づいてくるのを見て慌てて部屋から飛び出した。