君に染まる(後編)
最低だ、私。
眩暈がした?体調良くなかったの?
そんな先輩を置いて逃げ出して、ホント最低。
いつも車で通る門への道がひどく遠く感じる。
さっき必死で走りすぎてもう体力の限界が来た。
まだ半分も来てないのに力尽きて立ち止まる。
上半身で大きく息をするのと同時に次第にこみ上げ、ポロポロと零れ落ちる涙。
「…っ……」
あんなこと言いたくなかった。
あんな顔させたくなかった。
別れたくなんかない。
もう、先輩に抱きしめて欲しくてたまらない。
でも、決めたんだ。
私は、先輩と一緒にいちゃいけない。
決めたんだ。