君に染まる(後編)
美紅先輩の言葉に
あたしより早く反応する楓ちゃん。
あたしは「もう…」と呟きながら
顔を赤らめるしかなかった。
放課後。
『何かあったら報告よろしく』
と言ってきた楓ちゃんと別れ、
美紅先輩の伝言の通り
VIPルームにやってきた。
楓ちゃんが変なこと言うから…。
妙に緊張しながら扉をゆっくり開ける。
「お、お邪魔します…」
…誰もいない。
部屋の中を見渡しながら靴を脱ぐ。
寝てるのかな…じゃあ、2階に…。
そう思いながら、
階段の1段目に足を乗せた時。
「…未央?」
ふいに名前を呼ばれびくっと固まる。
バッと顔を上げると、
2階の手すりにもたれて
あたしを見下ろす創吾先輩がいた。
「あ…こ、こ、こんにちは」
「はっ…なんだそれ」