君に染まる(後編)
「待ってください!創吾先輩!!」
スタスタと歩いていく先輩を必死に追いかける。
足の長さが違うとはいっても、相手は歩きでこっちは走っている。
ほんの数秒で追いつき、先輩の腕を掴んだ。
立ち止まった先輩に向かい合う。
「あの、なんで急に…―――」
「忘れ物取りに行っただけだし」
すぐさま答えを返され、
「あ……。…あの、怒って、ますか?」
言葉に詰まりながらもそう聞いた。
「なんで」
「だって…隠してた、わけですし………」
コソコソして、先輩だけ仲間外れという形になってしまった。
いい気分なわけないよね…。
「…怒ってるよ」
「っ……」
「もういいだろ。…帰るから、離せ」
そう言い、先輩はゆっくりとあたしの手を引き離す。
そのまま先輩は歩き去り、あたしはそのままそこに立ち尽くしていた。