君に染まる(後編)
次の日の放課後。
先輩達にチケットのことを伝えるためVIPルームへやって来た。
「どんだけガード堅いのよ未央ちゃんのお兄さん…」
「想像以上のシスコンだね…」
「………てか、うざ」
「す、すみません……」
思った通りの引きっぷりに謝ることしかできない。
「まあでも、さすがに顔見れば通してくれるんでしょ?」
「ああ、たぶん…美紅先輩は大丈夫だと思いますけど………」
そう言いながら卓先輩と優先輩へ視線をうつした。
「………別に俺入れなくてもいいけど」
「何言ってんのよ優!せっかくの未央ちゃんのステージ、聞かなくてどうすんの!?」
「いやだって……言えば隣でも聞けるし………」
チラッとピアノルームを見た優先輩にあたしは苦笑い。
「分かってないわね!音楽は整った環境で聞くから価値があるんでしょ?
そしてドレスアップした未央ちゃんも拝める!!」
「美紅…それただの変態―――」
ガチャッ
「……あ゛?」
優先輩の声を遮った扉の音とともに聞こえてきたのは創吾先輩の低い声。
あたしを見るなり顔をしかめた。
そのことに軽くショックを受けうつむいた瞬間、
「来い」
先輩に腕を掴まれ、2階へと連れていかれた。