君に染まる(後編)
「寝るって…
こんなとこで寝たら風邪ひきますよ?」
「いいから弾けって」
だるそうにそう言うと、
腕を組んでうつむいてしまった。
い、いいのかな…。
戸惑いながらも
言われた通りピアノを弾く。
昨日、何度も弾かされたLover。
気に入ってもらえたのなら、
まあ、いい…かな?
数分後。
視界の片隅にいた先輩が突然消え
驚いて手を止めると、
眠ったひょうしに倒れたらしく
その場に横たわっていた。
このままじゃ風邪ひいちゃう…。
そう思い、
ベッドルームから毛布を持ってきて
先輩の体にかける。
それにしても、すごく気持ち良さそう…。
小さく寝息をたてながら
眠る姿を見ていると、
思わず触れたくなってしまった。
そっと手を伸ばし、頬に触れる。
改めて見ると…やっぱりかっこいい。