君に染まる(後編)
メールの相手は創吾先輩だった。
〔今電話しても大丈夫か?〕
〔はい!〕
自分の部屋のドアノブに手をかけた時着信が入った。
通話ボタンを押しながら部屋に入り、ドアを閉めながら携帯を耳にあてる。
いつもの低い声はすぐに聞こえてきた。
『もしもし』
「も、もしもしっ』
『ん?なんか息切れしてないか?何してたんだ』
「え、あ…リビングにいたので慌てて部屋に…だからかと…」
『慌てて…そうか…』
「あの…何か用ですか?」
『ん…用がないと電話しちゃいけないのか』
「そ、そういうわけじゃ…」
恥ずかしくなりながらそう言うと、電話の向こうで先輩が「冗談だよ」と笑った。
『さっき楓から電話がかかってきた。クリスマスイブのことで』
「え?」
『悪い。誘う気はあったんだけど、ちょっと仕事の都合でタイミングがな…』
お仕事…確かに、最近は更に忙しいみたいで、全然連絡取れてなかったかも…。
…あれ?考えてみると、最後に連絡取ったのって2週間…3週間ぶり?ん?