君に染まる(後編)
その瞬間。
「うわ!」
「きゃっ!?」
ドアを開けると、なぜかそこにはお兄ちゃんがいて、あたしの方へ倒れかかってきた。
とっさによけると、少しよろめいたお兄ちゃんは気まずそうな顔であたしを見た。
「…何してたの?」
「別に…何も……」
「………盗み聞き、してたの?」
そう聞くと、一瞬顔を強張らせた後になぜか開き直ったように踏ん反り返る。
「そんなことより…今誰と電話してたんだ?またアイツか?」
「お兄ちゃんには関係ないでしょ…」
いつものように顔をしかめて詰め寄るお兄ちゃんに、いつものようにしらばくれようとする。
けど、電話が繋がっていることを思い出し慌てて携帯を差し出した。
「…ん?」
「その…電話の相手…先輩、なんだけど…お兄ちゃんに代わってほしい、って…」
「は!?なんで!?」
「分からない…いいから出て」
ものすごく嫌そうな顔をすると、おそるおそる携帯を受け取る。
そのままゆっくりと耳へ近付け、
「……も、もしもし」
そう言った瞬間。