君に染まる(後編)
と、思ったのもつかの間。
「それはダメだ!!!!」
ブツッ
突然声を荒げたお兄ちゃんは、一方的に電話を切ってバチンッと携帯を閉じてしまった。
「…え?え…ちょっとお兄ちゃん何して……」
「未央!やっぱりイブはアイツと過ごすつもりだったんだな!?」
「へ?」
「許さないからな!イブは兄ちゃんと母さんと過ごすんだぞ!もう決めた!!」
少しキレ気味にそう言うと、あたしに携帯を渡して部屋を出て行ったお兄ちゃん。
意味が分からず戸惑っていると、創吾先輩から着信が入った。
「も、もしもしっ」
『悪い。アニキ怒ってるか?』
「あ、はい…なんだかすごくイライラしてましたけど…何話してたんですか?」
『ん?んー…まあ、イブのこととか…いろいろと…な』
「でも、話してた時間すごく短かったですよね」
『あー…まあ、ちょっと…アニキの癇に障ること言っちまった気がしないでも…』
何言ったんだろう…。
『とりあえず…イブのことはなんとかするから、ちゃんと空けとけよ』
「でも、さっきの様子じゃ許してくれそうには…」
『大丈夫。ちゃんと許可もらってやるから心配すんな』
一体その自信はどこからくるのだろうと思いながらも、
先輩を信じ、「…はい」とだけ返事をした。