君に染まる(後編)


そして、イブ当日。



あれ以来先輩からの連絡はなく、お兄ちゃんは先輩への警戒を強めたまま。



先輩のことは信じてるけど、何も連絡がないのはやっぱり不安…。

どうなるんだろう…このまま流れちゃうのかな……。



晴れない気持ちにモヤモヤしていると、目の前に暖かいココアの缶が現れた。


顔を上げると、もう片方に缶コーヒーを持った堀河さんが立っていた。




「おはよう。今年も追い出されたの?」


「あ…はい…あ、ありがとうございます」



差し出されたココアを受け取りながら軽くおじぎをする。


長椅子に並ぶように座った堀河さんは、プルタブを空けコーヒーを一口飲んだ。




「お父さんが異動したのって未央ちゃんがまだ3歳とかの頃だよね。
それからずっと、イブの家族パーティーは吏雄が仕切ってるんだっけ?」


「はい…お父さんがそういうイベントとかに力を入れる人で、単身赴任に行く時、お兄ちゃんにリーダーはゆずるって言ったそうです」


「それから毎年か…パーティーの準備の為に未央ちゃんだけ追い出すなんて本当凝り性だよな」



苦笑いを浮かべる堀河さんにあたしも力なく笑う。


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