君に染まる(後編)
「…やっぱ彼氏くんの方がいいよね?」
ニヤニヤと笑う堀河さんに少し顔を赤らめた。
「まあ、吏雄は恋愛感情で対抗意識燃やしてるわけじゃないから、彼氏くんと比べるのも変な話なんだけどさ…
それでも、少しぐらいは、彼氏くんを想う気持ちのほんの少しでも吏雄のこと想ってあげてもいいと思うよ?」
「はあ…」
「っつっても、俺は未央ちゃんの味方だから、吏雄より彼氏くんの方応援するけど」
「え?」
「だってさ、正直すごい心配になるんだよ。あんなんでも意外とモテるんだから、ある程度妹離れして本気で彼女作った方がいいと思うんだ」
堀河さんの言葉でこの前のお母さんとの会話を思い出したけど、何も聞かず口を噤んだ。
興味がないっていうのもあるけど、なんだか聞いちゃいけない気がする…。
「それにはやっぱ、今日が勝負だね」
「勝負?」
「彼氏くん、なんとかするって言ったんでしょ?ちゃんと吏雄と話つけてくれて、吏雄が今日のこと許してくれれば少しは妹離れしてくれるかも」
「そうだといいですけど…」
「未央ちゃんもさ、そんな暗い顔してないで彼氏くんのこと待ってようよ。きっと大丈夫だから」
力強いその言葉に、少しモヤモヤは晴れた気がした。
笑みを浮かべる堀河さんに、あたしもつられるように笑い、少し冷えてしまったココアのプルタブを空けた。