君に染まる(後編)
「…まあ、いいわ。とりあえず知ったからにはなんかしねぇとなってことで………お気に召していただけたでしょうか?」
わざとらしい丁寧な言葉遣いに少し笑いながらこくっとうなずいた。
「あ…でも、やっぱり私もプレゼント…」
「だからいらねぇって」
「だって…誕生日はいいとしてもクリスマスの方は…」
「だーかーらー…」
はぁ…と大きなため息をついた先輩は、ふわっと私を抱き寄せ、自分のおでこと私のおでこをこつんと合わせた。
「プレゼントはいらねぇよ。未央がいんだから」
「…え?」
至近距離にとまどいながら首をかしげる。
「え?じゃねぇよ。ただ夜景見てプレゼント渡すだけの為にホテルの一室予約するバカがどこにいんだ」
少しムッとした先輩の言葉を頭の中で整理…し終わった瞬間ボッと顔が熱くなる。
「あ、あの、それってつまり…」
視線を泳がす私に嬉しそうに微笑みかける。
「今未央が考えてるので正解だと思うけど?」
「そ!…そんな、こと…それに、やっとお兄ちゃんが認めてくれた矢先に…あの…嫌です…またお兄ちゃんが反対しだすようなことは…」
「なーんで焦ってんのか分かんねぇけど…アニキにはもう許可もらってっから」
「…は?」
「『朝まで一緒にいたい』っつったら『どうぞ』って…いやまあ実際そんな簡単ではなかったけど…とにかくそういうことだから」
「…お、お兄ちゃんが、そう言ったんですか?」
信じられないと驚愕する私を先輩は更に強く抱きしめた。