Real

過去

気付いた。
こんな風な気持ちになるのは変なことだと。どうやって気付いたかは覚えてないけど、確かに気付いてしまった。

初めて怖いと感じた時は、もうすでに記憶にはないくらい昔のことで。
物心ついたころには、きっと変になっていたんだろう。もしかしたら、生まれつき“何か”が住み着いていたのかも。

その“何か”、というのは、好奇心も混ざった怖い感情。
これだけじゃ説明とは言えないけど、簡単に言ったらそういうことになる。
もっとちゃんと説明すると、つまり、「○○したい」「○○してみようかな」と思うこと。それだけならまだいい。
でも、その内容が意味不明で。
たとえば。
『顎を外してみたらどうなるんだろう』『喉の奥まで指を突っ込んだら、どうなるんだろう』『白目むいたら、目が戻らなくなるんだ。やってみたい』とかだ。
想像しただけで怖い。怖いのに、やってみたい。やってみたいのに、怖い。
やってみたい・・・とは少し違うかもしれない。
本当はやりたくない。でも、何故か心が「やってみようよ」って言ってくる。
そう言い出したら、しばらく言い止まない。
モヤモヤゾワゾワした気持ちが、良くて30分、悪くて1日ずーっと、巡っているのだ。
だから、しばらくの間は、顎を外そうと思ったり、喉の奥に指を突っ込もうと思わないように、歯を食いしばったまま話したり。
白目向いてしまわないように、目を固く閉じたり。
たぶん読んだだけじゃ分からないと思う。でも、けっこう大変だったりするんだ。
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