Real
この“何か”については誰にも話していないし、話したくない。
直接言ったらドン引きされるだろうから。
家族には、少しだけ話したことがある。でも、やっぱり詳しくは話したくなかった。
自分の口からなんて、とても言える内容じゃない。

“何か”は、たぶん私が好奇心旺盛で、なおかつ影響を受けやすいために住み着いたんだと思う。
しかも、尋常じゃないくらい。

幼稚園に通う前くらいの私には、あまりにも荷が重すぎて、母に話した。
今までずっとこんな気持ちを抱えてたんだよ、辛かったんだよ、と。
拭いても拭いても溢れる涙に邪魔をされながら、必死に打ち明けたことを覚えてる。
私は、パニックになっていた。
泣きじゃくる私を、母と姉は呆れたように笑っていた気がする。

母に話したからと言って、その“何か”がすぐ消えるわけもなく。
『大きくなったら、絶対治る。』
小さな胸に、小さな希望を抱いた。
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