青空の紙ヒコーキ
「じゃ…久哉…くん?とか?」

「『くん』はいらねー。」

「でもっ…いきなり呼び捨てとかできないよっ!!」

「んーじゃあ徐々に?ってことで。」

「う…ん。頑張ってみる。」


頑張ってみるってなんだよ。
そんな頑張ること?
まぁいいや。
やっぱ笹川に名前で呼ばれると嬉しいし。

「残りの一本、やっちまおーぜ。」

「うんっ。」


俺たちは線香花火に火を付けた。

結局また俺は負けたんだけどさ。


「さーて、もう遅いし、ロッジ戻ろうぜ。送ってくよ。」

「え…だって逆方向だから…
あたし、大丈夫だよ!!」

タイミング掴めねぇ…
言いたいのに言えねぇ…

「いーから!!
俺が送りたいんだよ…梨絵。」


俺は梨絵の手を握った。


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