青空の紙ヒコーキ
* * *

学校一でかい桜の木の近くまで来た。


「ここ…俺の思い出の場所。」

「久哉くんの?」

「うん。
って梨絵はやっぱ覚えてねぇーか…。」

「え?」

「ここで…
初めて梨絵と話したんだけど、俺。」

「え…っと…あ!!」

「あ、思い出した?」

「う…うん。
で…でも…ホントにちょこっとしか話さなかったよ…ね?」

「あー…うん。
悲しいぐらいちょこっとだけ。


でも…
俺の中では大事なんだ。
あの時からずっと。」

「え…?」



梨絵が戸惑った表情をしている。



内心、俺だって結構やばい。

緊張…とかなんかいろんな感情がグルグルしている。


でも…

なんとか俺は言葉を続ける。

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