さんがつアリス
正面にいる有栖ユイの顔に、俺は何か既知感を覚えた。

(どこで会ったんだっけ…?)

十面相を繰り返す俺に、彼女は深々と頭を下げる。
「あの、ありがとうございました」
「え、いや…、別に」

お礼を言われるほどのことは。


してないです。



頭を上げた彼女の顔に、言おうと思っていた言葉を飲み込んだ。

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