約束‐ヤクソク‐
「ムダな抵抗はやめなさい。お前みたいなヘナチョコにゃあ、ムリムリ」
あたしはそれを聞いた瞬間、怒り爆発。
腕を拘束されたまま、凌哉の背中に、頭突きをくらわせた。
「うおっ、おま・・・危ねっ!」
「きゃっ」
凌哉はバランスを崩し、横の土手に自転車ごと転がった。
――…。
「痛ぁ・・・くない?」
ハッとして見ると、凌哉はあたしを庇うようにして横たわっていた。
「凌哉!!」
「ん・・・梨依。大丈夫か・・・?」
「あたしは平気! それより凌哉がっ・・・」
「俺は平気だって」
にっと笑ってみせるが、その表情は苦痛に歪んでいる。
「ゴメン・・・りょ・・・」
あたしの言葉はそこで遮られた。
「んっ・・・」
凌哉は、唇を離して、言った。
「大丈夫だから、落ち着け。な?」
「うん・・・」