約束‐ヤクソク‐

 目の前に凌哉の顔が近付いていた。




「何? またキスされたい?」




 意地悪そうにその瞳が光る。




「っっ!? バカッ//」




「冗談だ」




 そう言いつつも凌哉は、そっとあたしの頬に唇を落とした。




「ちょ、なっ・・・?!」




 あまりにも突然すぎて、言葉にならない。




「ふっ、梨依・・・顔真っ赤」




「なっ、何言ってんの!?」



凌哉はクックッと腹を抱えて笑っている。




あたしは顔が火照っているのを抑えられない。




思わず、顔に手を当てる。




それを見て凌哉は、あたしの手にそっと自分の手を重ね、また微笑んだ。




こんな風に、いつもからかわれて惑わされる。




 凌哉に敵う日は来るんだろうか……。




< 16 / 45 >

この作品をシェア

pagetop