約束‐ヤクソク‐
~Rii side~
あたしが記憶を失った…らしい日から、あの茶髪の男の人が毎日病室へ来ている。
彼とは、恋人同士だという話だが、全く覚えていない。
あたしに彼氏なんていたんだ……
彼の方は、あたしを梨依って呼ぶけど、あたしはなんとなく言いにくくて
凌哉さんって呼んでる。
だけどそれがあんまり気に入らないみたい。
もう少ししたら、頑張って呼んでみようかな。
そしたらきっと凌哉さん、喜ぶんだろうな。
あたしがどんな反応をしても、明るく話してくれる。
それがとても心地よかった。
自分のことだけど、なんでこの人と付き合ってたのか
分かる気がする。