約束‐ヤクソク‐
(どうしよう・・・
全然大丈夫そうに見えないし・・・
でも、こんなのお節介って思われるかな
そんなに仲が良いわけじゃないし
ここでこのまま見捨てて明日風邪引いちゃったら後ろめたいし・・・
ほっとけない・・・よね?)
今にも走って行ってしまいそうな岸本さん。
「っ待って!」
とうとう呼び止めてしまった。
「これ、使ってって・・・」
すっと、自らのマフラーを外し彼女に差し出す。
「え・・・?」
「あ、こんないきなり人のモノ・・・嫌だよね。
ゴメンっ、でも・・・こんな寒空の中ほっとけないからっ」
僅かに沈黙が流れた。