約束‐ヤクソク‐
第Ⅲ章
破片-kakera-
「・・・待って!」
ハッと気付くと、天井へ向かって手を伸ばしていたあたし。
(あ、そっか。ここ病院だった・・・)
凌哉としばしの外出を楽しんだ後、あたしは病院へ戻されていた。
「もう少しいたかったなぁ」
そう呟いた自分に驚く。
(え、あたし何言って・・・)
と、その時かすかに笑い声が聞こえた。
「あ、凌哉さん!? いつからそこに・・・」
「梨依が起きる前から。つか、またさん付けになってるし」
(うわぁ・・・独り言聞かれてたんだ、恥ずかしい)
「そうだった、凌哉って呼ばなきゃね! って、凌哉?」
見ると俯いていた。具合が悪いのかと不安になる。
「や、ごめん。あまりにも梨依がかわいくて・・・」
その言葉に一気に顔が赤くなる。