ねくすと★DOLL
「あたしね、コータくんを主人公にして、マンガが描きたい!!」
「えっ!?」
タマミの突然の提案に、コータは驚いた。
「えーっとね、コータくんには幼なじみの男友達がいてぇ……」
「あっ、あの……」
タマミはコータのリアクションを完全無視し、勝手に話を始めた。
「二人はケンカばかりだけど、実は心が通じ合ってるの」
「あの……。桃園、さん……?」
残念ながら、一人の世界に入り込んだタマミには、コータの声が全く届かなかった。
「同じ部活に入って、お互いライバルとして牽制し合うんだけど……」
「もしもし? もしもし?」
「部室で二人っきりになった時、ついに告白するの!!」
「……………………」
タマミの目線は、すでにあさっての方向に向いていた。
コータはその様子を、ただじっと見つめるしかなかった。