ねくすと★DOLL
「あの……。お楽しみ中の所、大変申し訳ございませんが……」
初老の男は、冷静な言葉でつぶやいた。
「これから入学手続きがありますので、これで失礼します」
「ま、待って下さい!! その前に、た、対決をしてから……」
バキイッ!!
サキの左ショートフックが、町田の右頬にクリーンヒットした。
「じゃ、それが終わったら又来てください。お待ちしてますので」
崩れ落ちる町田をさっさと退け、サキは答えた。
「い……、いちち……」
腫れ上がる頬をおさえながら、町田は床を這いつくばった。
「わぁっ!! 町田先輩、まるで昆虫みたいっ!!」
タマミは無邪気そうに、モゾモゾと動き回る町田を目で追う。
「一寸の虫にも、五分の魂、か……。お主も侍じゃのう、町田」
阿部先輩は、腕組みをしながら町田を見下ろす。
『で、誰も助けようとはしないのね……』
コータは心の中で、呟いた。