ボクがキミのおとうさん。
色々な事があったけど、とうとうその日はやって来た。


キミがお母さんに合図を送り始めたんだ。


ボクは大慌てで車を走らせた。


その時はのんびり屋のボクも、赤信号が凄くもどかしかったよ。


病院に着いて先生に診てもらうと、もう産まれそうになってて、すぐにお母さんは小さな部屋に運ばれて行ったんだ。


ボクが部屋の外で待たされていて、耳をすましているとお母さんの苦しそうな声が聞こえてきた。


辛かったよ。やっぱりそんな時男は何の支えにもならないんだ。


その後二十分くらいたったかな……。


おじいちゃんが来て、ボクにそっと話しかけたんだ。


「キミには感謝している。キミのおかげで私ももうすぐおじいちゃんだ」


凄く嬉しそうに、照れながらそう言ったよ。


あのおじいちゃんがだよ?なんかおかしくてね。凄く肩の力が抜けたよ。


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