ボクがキミのおとうさん。
その日ボクが家に帰ると、お母さんはいつも通り優しい笑顔で迎えてくれた。


いつもだったら、とても嬉しいはず。


でもね、その時のボクには全然嬉しくも何ともなかったんだ。


ボクと同じ歳の人なら、時間なんて気にしないで、まだ遊んでいられたはず。


そう思うと、今までの幸せが、不幸だったんじゃないかって思えて来た。


夜、赤ちゃんはだいたい三時間置きぐらいに起きては泣くんだ。


ボクはキミのお母さんに随分ひどい事を言ったもんだよ。


赤ちゃんだったキミが大声で泣く度に、怒った口調で、


「うるさいな。早く寝かせてよ!」


なんて言ったりして。


本当に酷い言葉だよね。でもお母さんは怒るどころか優しい声で、


「ごめんね。すぐ泣き止ませるから……」


って言って違う部屋にキミを連れて行ったんだ。


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