ボクがキミのおとうさん。
でもその時のボクはそれが当たり前だと思ってた。


自分だけが辛い思いをしてると思ってたんだ。


次の日の朝、目を覚まして時計を見てみると、八時半を過ぎていた。


完全に遅刻だったよ。凄く焦ってバタバタしていると、お母さんも焦って起きて来た。


いつもはお母さんが起こしてくれてたんだけど、さすがに眠れなくて疲れてたんだろうね。


でもボクは、大変な思いをしているお母さんの事なんか気にせずに、こんな事を言ってしまったんだ。


「ちゃんと起こしてくれよ!ただ家にいるだけなのに疲れた顔するな!」


お母さんはそれに対して何も言わなかったけど、とても悲しい顔をしてた。


ボクはその後すぐ車に乗り込んで仕事に出掛けたよ。


お母さんが何を思っているか考えもせずに。


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