ボクがキミのおとうさん。
ボクはキミのお母さんに一度だけこんな事を聞いたんだ。


「血の繋がりがなくても、お父さんでいられるかな」

すると、お母さんは優しい声でこう言った。


「今あの子はあなたの事なんて呼んでる?」


そうだ。


キミはボクの事お父さんって呼んでくれてる。


そう思うとボクは自信が持てた。


それに、ボクがキミを息子だと思っている限り、親子でいる事ができるんだ。


なんか情けないよね。


キミはボクをハッキリと、お父さんって呼んでくれていたのに、ボクがそれを否定していたんだ。


ボクはその時、キミやお母さんのために、もっと強い人になろうと思った。


体じゃなく、心の強い人にね。


でも、ボクにはもうそんな時間も残されてはいなかったんだ。


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