指から滴る雫のあとは、君の涙
「これね、鈴音と一緒に遊んだ日々を歌ったの」

「どうして俺なんか」

「鈴音だからに決まってるじゃない」




俺との日々――か。




遊んだのはたしか、かなり昔だと思う。




小学生のときしか遊んでない。




それに中学でリサさんは「芸能人になる」とかいい出してオーディションを何個か受けていた。




「中学のときオーディション受かったら私と約束したこと覚えてる?」

「覚えてないです……」

「やっぱり…」




溜め息をついて俺を切ない目で見てきた。




何か約束あったか…?




リサさんはケータイを取りだし誰かに打っていた。




そんな大切な約束じゃないのか…良かった。




「約束はね――?」




え……?



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