少年天使〜エンゼル・フェザー〜

いつもは通らない東門から出ていって、自転車置場を横目に歩いていきます。

少し進むと線路があって、僕達が通り過ぎると赤いランプを点滅させながらカンカンカンと音が鳴りました。

恵ちゃんが通り過ぎていく電車を見ながら「セーフだったね」と言いました。

ちょっと傾きだした太陽が、家の影を通りに写します。

「今から"影の上しか歩いちゃダメ"なことにしよ」

恵ちゃんの無邪気な提案。

僕はちょっぴり驚きました。

「えっ、なに?やりたくない?」

「んーん。恵ちゃんもこんな可愛い遊びとかするんだな、って思って」

僕がそう言うと恵ちゃんはほっぺたを赤くしました。

「よーし、じゃあ今からスタートだぁ!」

細い小道は楽々、影の上を歩くことができます。

お家とお家との間に空き地があったりするとピンチです。

そういう時には柵の骨組みの部分を慎重に渡ります。

どうしても飛び越えられない場所があって、カバンを放り投げて影をつくったら、恵ちゃんが「ずるーい」と笑って言いました。

その後で恵ちゃんもカバンを投げて影を渡りました。




< 112 / 129 >

この作品をシェア

pagetop