少年天使〜エンゼル・フェザー〜
招かれたリビングでまず目に入ったのは壁に立て掛けられた大きなテレビでした。
それを見て「ふぁ、映画館?」と恵ちゃんが呟いてしまうほどの大きさです。
「どうぞ、自由に座ってね」
そう言ってお母さんはキッチンに向かいます。
僕達は目を見合わせます。
「はは、何処に座ったら良いんだろうね?」
大きくてどっしりとした木彫のテーブルを囲うようにして置かれたソファ。
どこに座ってもあの大きなテレビを見ることができそうです。
「と、とにかく手前?で良いんじゃないかな?」
「そうだね。立っててもおかしいし座ろっか」
よくわからないけれど、いそいそと座る僕たち。
恵ちゃんは家具とか電球とかをキラキラとした目で見ています。
「……写真」
「え、なに?」
僕は棚の上に飾られた幾つもの写真を見ながら言います。
「一真くんが写った写真が沢山飾ってあるんだね。それも赤ちゃんの頃から最近のものまで色々」
恵ちゃんも棚の上を見つめます。
「本当だね……凄く大切にされてるんだね」