少年天使〜エンゼル・フェザー〜

突然現れた僕を見て健太くんは驚き、花を摘み取ろうとしていたシャベルを止めました。

「はっ!!……誰?」

誰?という質問に答えることができない僕。

「……ダメだよ健太くん。」

「え、僕の名前……」

健太くんと言った瞬間。

すくすく育ってしまっていた悪意の芽がしぼんでいくのが分かりました。

「寂しさとか怒りとか、君が感じていたものはどうしようもなく耐え難いものだけど。」

健太くんはぼーっと僕のことを見ています。

ただじっと僕の話に耳を傾けてくれています。

「それでも弱いものに当たってそれを晴らしたらいけないよ。そんなんじゃ君の気持ちは少しも楽にならない。」

「あっ……オレ……」

カラン。と音がしてシャベルが地面に落ちました。

「健太くん、皆に言ってみようよ。」

「……えっ、でも。」

「僕の名前は健太だよ。皆も健太って呼んでよ。って言わなきゃ伝わらないよ。」

健太くんは少しだけ俯いて、そしてウンと頷いてくれました。






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