少年天使〜エンゼル・フェザー〜

温かな木の家


キーンコーンカーンコーン。

僕が大河原中学校に転校して初めての放課後です。

「この後、中山は職員室まで来なさい。」

担任の沢田先生がそう入り口から言いました。

礼雄くんは表情ひとつ変えずにカバンに荷物を詰め込むと、教室を出ていきました。

「礼雄くん……」
「礼雄……」

ん?

隣を見ると恵ちゃんと目が合いました。

「な、なに?」

恵ちゃんはすぐに顔をそらしてカバンに教科書をせかせかと入れていきます。

「恵ちゃんも礼雄くんが心配なんだね。」

にこっと僕は笑顔でそう言いました。

「なっ、べ、別に心配なんかしてないけど……ただ。」

「ただ?」

最後の一冊を手に持ったまま恵ちゃんは何かを思い、口を閉じました。

「……なんでもないわ。さようなら新田くん。」

僕は「さようなら。」と言って手を振りました。

恵ちゃんが教室を出ていきます。




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