少年天使〜エンゼル・フェザー〜


しばらくして戻ってきたおばあさんの手には、埃をかぶった選択剤と石鹸。まだ開けていないタオルがありました。

「古くなってしまって誰も使ってくれないから"また"貰っていってくれないかしら?」

「……えっ、またって」

恵ちゃんの表情で分かりました。

本当は今まで一度も貰ったことなどないことに。

「強がりんぼの恵ちゃん」

おばあさんの優しい声。

「はい」

「今度"また"お店のお掃除を頼んでも良いかしら?私は何もしてあげられないけど、頼めるかしら?」

恵ちゃんは力強く頷きました。

「はい、おばあさんありがとう。また来ます」

「ええ、待ってるわね」





< 94 / 129 >

この作品をシェア

pagetop