合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです
「誰?」

あたしが裕樹を抱いて廊下へ出ると、そこには雅樹に頭を下げる舞子の姿があった。

「すいません。まさか、こんな平日の昼間に雅樹さんがいらっしゃるとは思わなくて……」

ま、確かに。

舞子が驚くのも無理はないよね。

現在、木村雅樹四十一歳、二週間の育児休暇取得中です。

「言って無かったっけ? 雅樹、育児休暇とってんの」

「あ、もしかしたら聞いたかも。でも、なんか実感なくて右から左に流してた。悪い」

「で、何で、あんたがここにいる訳? 平日昼間。外からのインターフォン、鳴らなかったよ?」

「えっ、まぁ、その……実はさ、今日副社長が出張なんで久々オフ取れてさ、昨日から樹んちで飲んでたの」

「はぁ~? あんた達、いつからそんな関係なの?」

あたしは、兎に角中に入りなよ、と舞子を家に招きいれた。

雅樹が、

「あとは俺が裕樹を寝かしつけるから、裕子は休んでて……」

って言ってくれたもんで、お言葉に甘えて居間で舞子と向かい合う。
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