合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです
「樹は、そんなこと冗談で言わないよ」

「でも、あいつ、あたしの遍歴なんて、嫌って言うほどあんたから聞かされてるだろうに。今までだって、あたしの愚痴をただ黙って聞くだけで、あたしの手を握るどころか、あたしに触れさえもしなかったんだよ。
なのに、突然、結婚って……なにさ、それ……」

「舞子はいつだって、真剣だったじゃない。樹には分かってるんだよ、舞子のそんなとこ。だから……ほっとけないんじゃないかな?」

「同情?
それなら、尚更お断りよ!
何考えてんだか……樹のやつ……」

真っ赤になって、樹を毒づく舞子を見て、

「で、舞子、あんた樹にそう言われて、もしかして逃げてきたの?」

思わずもたげた疑問を口にする。

「え、まぁ、その、なんか、居たたまれなくて……」

「ぷっ……」

あたしは何だか可笑しくなった。

「何が可笑しいのさ」

「だって……」
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