合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです
居間に入るなり、樹は舞子に近づいて、

「舞子さん。姉貴やお兄さんもいるし、丁度いい。もう一度言います。『僕と結婚を前提にお付き合いして貰えませんか?』」

と舞子の手をとった。

「えっ、あ、あの……お付き合いからなら……」

真っ赤になって、小さな声で頷く舞子は、いつもの堂々とした姿からは想像がつかないくらい可愛らしい。

「それって、オッケーと受け取っていいんですよね?」

「よかったじゃない、樹。やったね」

さっきの自信無げな不安そうな顔つきから、一転笑顔になった樹を見て、

「でも、なんであんた、今頃ここに来るわけ? 舞子が来てからかれこれ三十分は経ってるんじゃない?」

あたしはハッと気がついて、樹に問いただした。
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