合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです
「行こう、舞子さん。姉貴達は今、裕樹の世話で忙しいんだ」

樹が舞子の手を引き、ソファから立たせた。

「そう、そう、あたし達忙しいの。今は裕樹の世話で手一杯。あんまり心配かけないでよ。二人で宜しくやって頂戴」

「フンギャ……」

「ホラホラ、行った行った」

あたしは、立ち上がった二人の背中をそっと押す。

「成るようになるって……ね、雅樹?」

「ん?」

裕樹を抱いて奥の部屋から出てきた雅樹が、とろける様な瞳でこちらを向いた。

「赤ん坊って、可愛いなぁ……」

雅樹の本気の呟きに、みんなが笑う。
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