合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです
ウェットティッシュ、紙オムツ、着替え、タオル、粉ミルク、哺乳瓶、連絡ノート……

寝具とか、入浴用品とかは保育室に準備があると言われた。

必要な用具は、予め中重さんがリストアップしてくださっていた。

『あたしの子育て時代とは、もうかなり違うだろうし、何か困ったことがあったら遠慮なく言ってね』

と、中重さんはあたしを気遣ってくださった。

さすがベテラン。

用意された書類とか、入所心得なんかの説明は、痒いところに手が届くようで感心させられた。

『あたしはね、下の子がやっと一歳になった時、主人が交通事故で亡くなって、仕方なく義母に子供二人を預けて働いてきたの。生活の為にね。義母がいたからやってこれた。義母には感謝してる。でも、成長する子供の姿を見れないって、辛いものよ。特に赤ん坊は毎日顔が変わるから。だから、この仕事の話を聞いた時、なんか無性にやりたいって気持ちが強く沸いてきて。だから、木村さんには感謝してるの』

共に戦っていきましょうね、と優しく言われ、ちょっと涙ぐんでしまった。
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